祇園祭で始まる京都の夏は大文字の送り火で終わる

京都府大文字の送り火

出典:By 佐野宇久井 – https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20708800

 

京都の夏の終わりを告げる祭りとして大文字の送り火があります。

毎年8月16日に行われ、東山如意ケ嶽の「大文字」が最もよく知られているため、大文字の送り火と呼ばれていますが、京都五山の送り火が正式な名称です。京都では、祇園祭で夏が始まり、五山の送り火で夏が終わると言われるほど、京都の夏を代表する風物詩の1つです。

 

この行事は、お盆に迎え火を焚いて家に迎えた先祖の精霊を、お盆が開けた8月16日に再び冥途に帰る精霊を送ると言う仏教行事です。

室町時代にこの目的のために松明の火を空に投げて送っていたものが、山に点火して送ると言う風習に転じ、それが今日では仏教行事と言うよりお祭りとしての色合いを強くしたものです。

 

五山の送り火としては、大文字の他に金閣寺の近くの大北山の「左大文字」、松ケ崎西山と東山の「妙法」、西賀茂船山の「船形」、そして上嵯峨仙翁寺山の「鳥居形」があり、順次点灯され京都の夜を照らすのです。

この五山の送り火について、それぞれ少し詳しく記述したいと思います。

 

まず、大文字の送り火では昔から護摩木に自分の名前と病名を記して火床の割木の上に載せて焚く事で、その病が癒るという信仰や、その消炭を持ち帰って粉末にして飲むと、持病が癒るとも言い伝えられており、多くの人が無事息災を願って護摩木を奉納されています。五山の送り火の代表でもある大文字は、鴨川の堤防から良く見えます。

妙法の送り火は、涌泉寺と妙円寺の檀家の人々が午前中に墓参りを済ませて、先祖の精霊を送る火に点火する習わしになっています。妙は北山通、法は高野川堤防で綺麗に見る事ができます。

 

船形は西賀茂船山の麓の3つの町の55軒の旧家の約50人が西方寺に集り、そこから割木などを山上に運び、西方寺の鐘の音を合図に点火されます。この船形は北山通から見る事が出来ます。

左大文字は岩石が多い山のため、かつては火床が掘り難い事から篝火を燃していましたが、現在はコンクリートの火床で送り火が焚かれています。この左大文字は、西大路通で見る事ができます。

 

20時に大文字の点火され、順次5分おきに点火が行われ、最後に20時20分頃に鳥居形に点火されます。太鼓を合図にして親火から松明に火を移し、それを鉄製の受け皿に設置された火床に突き挿して点火されるのです。この鳥居形は松尾橋や広沢の池周辺から良く見えます。

五山すべての送り火を見る事は難しいですが、高層ビルが比較的少ない京都ですので、京都の街が見渡せる様な場所なら多くを見る事も可能です。しかし、その場合は実際に送り火を焚かれている山々から遠く、小さくしか見えない欠点がある上、眺望の良い所は有料であったり、人出が多かったりと言う欠点もあります。

 

山の麓などで見れば、1つの送り火しか見る事は出来ませんが、近くで見ると送り火の光だけでなく、バチバチと燃える音や、お寺の鐘の音なども聞こえ、情緒ある行事としての風情を味わう事ができます。

送り火は1時間ほどで終了するため、遠くから多くを見るのか、近くで音を含めて情緒を味わうのか、いずれを選ぶのか、また五山のどの文字を見学するのかを事前に研究して計画を立てられる事をお勧めします。

 

大文字の送り火周辺のおすすめグルメ

五山の送りをどこで見学するかを考えた上、夕食を摂る場所を決められると良いでしょう。

例として大文字の送り火を鴨川堤から見学される場合には、三条河原町周辺が便利でしょう。しかし当日は大変な観光客が押しかけるため、早い時間に夕食を済ませるか、少し料金は高めになるかも知れませんが、ホテルやレストランの大文字観賞付きの食事を予約して見学するのが良いでしょう。

 

大文字の送り火周辺のおすすめ宿・ホテル

また、遠方から五山の送り火を見学に来て宿泊される場合には、五山の送り火が見えるホテルはどこも早期に満室になり、また料金プランも上がる為、あえて送り火の鑑賞ができないJR京都の南側や、少し離れますが山科や滋賀県の大津辺りで予約するのが良いかも知れません。

外国人観光客を含めて普段でも予約が難しい京都で、夜の祭が行われるのですから、宿泊施設はさらに予約が難しくなります。しかし送り火は、8月16日に例年行われ、雨でも決行される行事である為、思い立てばすぐにネット予約などをされる事が必要です。

 

大文字の送り火まとめ

大文字の送り火として知られる五山の送り火は、仏教行事であり、お盆に家に戻って居た先祖の精霊を黄泉の世界に戻すための送り火です。祇園祭で始まる京都の夏は、この送り火で終わると言われています。

 

例年、多くの観光客が訪れるため、昼間には事前に決めた見学スポットの近くの神社仏閣などを散策し、早や目に夕食を摂った上で、見学に出かけられるのがお勧めです。

料金プランは少々高いですが、送り火の鑑賞と夕食のセットプランや、そこに宿泊を付けたプランなども各ホテルは用意しているので、五山のどの送り火を見学したいか、各ホテルのレストランや屋上からどの送り火が見えるのかを事前に調べ、早期に予約するのもお勧めです。

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