福山城とも呼ばれる北海道の松前城は、1849年に蝦夷松前藩の12代藩主であった松前崇広が、戦国大名であった蠣崎慶広の築いた福山館を、徳川家慶に改築するよう命じられたことが始まりと言われています。
1800年代中頃より、ロシアの船が来航するようになったため、北方を警備する目的であったとされます。津軽海峡に向け、三の丸から本丸御門まで、雛壇式に築城していく方法が採用されました。
艦砲射撃に対抗するために、7門の砲台が備えられました。側面からの鉄砲による攻撃がしやすい構造で、城壁の中に鉄板が仕込まれたり、虎口から本丸御門に至る通路が複雑に作られました。
冬の寒さも考慮され、門や櫓の屋根に使用する素材は寒さによって割れやすい粘土の瓦などは使用せず、銅板が葺かれることになりました。天守の壁は一般的に、竹で編んだ柱の間の骨組みに壁土を塗り込んでいましたが、ロシアからの砲撃に耐えることができるように、硬いケヤキの板を壁の中に使用しています。
松前城の石垣には柔らかくて加工しやすい特徴がある、松前の山で採取できる緑色の凝灰岩が使用されました。ノミを使って丁寧に形造られた石は、石垣の土が寒さによって流出しないように隙間のなく敷き詰められています。
でき上がった緑色の石垣は、全国的にも珍しい外観とされました。三重の天守も初めて造られました。
1854年に完成した松前城は、海岸までの距離は余り遠くないため、大規模な城郭に仕上げることはできませんでした。徳川幕府の家臣で海軍であった榎本武揚が、1868年に独立政権を目的として蝦夷地を訪れ、松前城を偵察した後に土方歳三をはじめとする700名の軍隊が城を攻めました。
一旦は榎本政権となるものの、1869年には再び城が松前藩に取り戻されます。箱館戦争の中、残った三層天守は国宝に指定されますが、1949年に町役場の火災によって焼失し、指定を解除されました。
現在、遺構である切り妻造りの本丸御門は国の重要文化財、御殿玄関は北海道有形文化財とされます。曲輪・石垣なども残り、旧城地一帯が国の史跡に指定されました。現在の阿吽寺の山門である旧寺町御門も現存し、松前城は桜の名所としても広く知られるようになりました。
2006年には、日本100名城のうち3番目に選ばれ、2007年より日本100名城スタンプラリーが全国規模で開始されました。
松前城周辺のおすすめグルメ
蝦夷寿司という松前城の麓にある寿司屋では、松前で捕れた新鮮な魚貝類を揃えています。
店主は鮮度を大切にし、いけすから生アワビなどを提供しています。良心的な価格で極上の味わいが楽しめる店です。カウンターは10席程で、御座敷もあります。
北前食堂では、津軽海峡を眺めながら海の幸を味わうことができます。
松前マグロ三色丼は、マグロのそぼろ・ユッケ・竜田揚げで盛り付けされた丼です。ユッケは、マグロの漬けに似た味わいとなっています。1杯の丼で3種類の味を楽しむことができる逸品です。彩も美しくてお勧めです。物産販売コーナーがあり、本マグロ・活あわび・ウニなど魚介類も購入することができます。
松前城周辺のおすすめ宿泊施設
矢野
1951年に創業された温泉旅館で、松前で一番の老舗旅館です。
ロビーには、松前藩にゆかりのある品々が置かれています。資料館のような骨董の展示コーナーもあります。料理は、捕れたてのアワビを様々な調理法で楽しめます。8~12月の期間には本マグロを味わうことができます。
風呂は100%天然温泉で、大浴場・露天風呂・水風呂・サウナがあります。自然と疲れを癒やされる、心からリラックスできる旅館です。
よこはま荘
魚が好きな人にお勧めの家庭的な宿です。料理が地魚メインで、マグロのかぶと焼は迫力があります。
心のこもった料理が用意され、手作りの松前漬けが有名です。風呂は共同ですが、24時間いつでも利用することができ、宿の主人に時間帯を相談することもできます。
檜で造られているため、良い香りと気持ちの良い湯で癒やされます。料理が抜群で、気さくな主人が出迎えてくれる宿です。
宿きたかい
津軽海峡が一望できる宿です。アンティークな内装も特徴的です。
料理はこだわりの地元食材や、はこだて和牛を使ったものが提供されます。朝食も一品ずつ目を奪われる鮮やかさで、心遣いが伝わってきます。1階のお食事会場は、昼はカフェとして、夜はBARとして利用できます。クリスマスのシーズンは、カフェのグッズコーナーに様々な可愛らしい雑貨が揃います。
松前城まとめ
松前城は大規模でないとは言え、歴史があります。戦いのために完成された城ですが、現在では桜の名所として愛され、穏やかな時間が流れるようです。
見ごろは桜が咲く5月、紅葉は11月くらいで、海の幸も豊富な地であるため様々な楽しみがあります。特にマグロやアワビは他では味わえない違いがあるため、ご賞味することをお勧めします。
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